
双極性障害の主たる原因
双極性障害の主たる原因は、遺伝的な体質により、細胞内のカルシウム濃度の調節に変化を来し、これによって神経細胞のはたらきが変化することだと考えられます。(なお、細胞内のカルシウムは、細胞外の一万分の一に保たれているので、食事中のカルシウムは双極性障害には関係ありません。)
ただし、遺伝病とは異なり、こうした体質を持っていても病気になるとは限らないし、むしろこの体質には良い面もあるかも知れません。ストレスは発症のきっかけにはなりますが、直接の原因ではありません。
よって、まだ双極性障害の原因は、まだ解明されていないというのが正しい表現でしょう。
しかし、この病気は精神疾患の中でも脳やゲノムなどの身体的な側面が強い病気だと考えられています。ストレスが誘因や悪化要因になりますが、単なる「こころの悩み」ではありません。 ですから、精神療法やカウンセリングだけで根本的な治療をすることはできません。
また双極性障害は、どんな性格の人でもなりうる病気です。
性格傾向なども原因となるといわれています。ですがそれ以外にも、様々な環境要因が重なることで双極性障害を発症すると考えられています。
双極性障害につながる環境要因
- 養育環境
- 社会生活でのストレス
- 生活リズムの乱れ
これらがあげられます。
幼少期の体験が左右する
幼少期に親を失った方は気分障害の発症率が高いという報告がされており、親の養育やかかわり方は双極性障害の要因として大きく関係していると思われます。
幼少期のストレスは、ストレスに対する弱さ(脆弱性)につながってしまうことがわかってきており、幼少期に十分な愛情を受けて育つことが重要と言われています。とくに母親との関係性は非常に重要です。
家族・社会によるストレス
感情表出が多い(High Expressed Emotion:HEE)家族では、病気が不安定になることも知られています。家族が本人に対して批判的であったり、過保護であったりと感情的な関りが強すぎることは、双極性障害の発症要因ともなります。
もちろん、家族によるストレスだけではありません。学校や友人、職場などの社会生活の中で、様々なストレスがあります。ストレスも決して悪いことばかりでなく、進学や昇進などの良い方向での大きな変化もストレスになりえます。
自律神経の乱れ
双極性障害では、生活リズムの乱れも影響として少なくありません。生活リズムが乱れると自律神経のバランスも崩れてしまいます。
まとめ
このように双極性障害は何らかの脳の機能的異常が背景にあるといわれていますが、遺伝要因に様々な環境要因が重なり発症すると考えられています。