双極性障害患者を家族と周囲の人は、どう支えればよいか

重要なのは、家族の理解と支え

一番重要な存在である家族の理解と支えがあると、本人の症状が安定します。家族の方が病気に理解してくれるだけでも症状が悪化してしまうのを防げることもあります。その一方で、家族が感情的になってしまうことは治療にとって逆効果です。


これは家族だけに言えることではなく、患者の身近な周囲の人にも言えることです。近しい周囲の人の理解と支えも、患者にとっては大きな安心にも繋がります。


双極性障害は長きにわたって治療が必要な病気ですので、一緒に生活する家族も振り回されてしまいます。その中で感情的になることは、責められることではありません。


批判的であったり、過干渉であったりと家族の感情が強まると、本人のストレスが増してしまいます。家族も双極性障害という病気を理解していただき受け入れることで、本人の病状の安定にもつながります。


患者の状態によって注意すべき対処方法

軽躁状態

軽躁状態であれば、本人は気分が良いことを自覚していることはあります。ですが主治医に相談することは少ないです。気になる場合は、主治医に客観的な情報を伝えましょう。(手紙だと主治医の抵抗も少ないかと思います。)


躁状態が強まっていくと、本人が病気であるという意識もなくなってしまいます。家族や周囲、本人に危険が差し迫っているときは、躊躇なく警察を呼ぶ必要があります。そこまでいかなくても通院を拒む場合は、主治医に相談して入院可能な医療機関を紹介してもらいましょう。


激しい躁状態

激しい躁状態を伴う双極Ⅰ型の場合、はじめての躁状態に接した家族や周囲の人は、「あの人がこんな言動をするなんて、人が変わってしまった」と大きな驚きと戸惑いを覚えることでしょう。


躁状態の患者さんの言動は、あくまでも病気によるものであり、本来のその人の性格によるものではないことを忘れないでください。感情的にならずに、受診を促すことが大切です。


躁状態の浪費に注意

また、躁状態には普段は考えられないような浪費、たとえば、突然、車や高価な着物を購入したり、高額のローン契約をしてしまったりすることもあります。契約書が交付されてからでも契約を無効(クーリングオフ)にできる場合がありますので、なるべく早く消費生活センターなどに相談してみましょう。


病院への促し方

躁状態では、本人には病気という自覚はなく、むしろ今の自分こそが本当の自分だと思っていることがあります。本人に病識がない状態で受診してもらうのは困難です。


まずは、「このところまったく寝ていないから疲れが溜まって身体が心配だ」のように、精神の問題よりも身体を問題にして病院を受診させるとよいでしょう。


その際には、患者さんが最も信頼している目上の人から「病院にいってみるように」と指示してもらうと従ってくれることがあり、試してみる価値があります。


ただし、患者さんをだまして病院に連れていくことは、決してやってはいけません。躁状態でもそのときのことは覚えていますから、その後の家族関係にしこりを残すことになります。


患者さんが入院を拒否しても、「病気を治すために入院してください」と本人にいっておけば、そのときは納得してくれなくても病状が落ち着いた後、きっと理解してくれるでしょう。


入院を拒絶し、症状の悪化と暴力行為がみられるようになった場合には、警察に相談することも考えましょう。


うつ状態の場合

うつ状態では、普段と変わりなく接していただきながら、辛そうなときは無理をさせずにそっとしておきましょう。励ましや気分転換は良い方向にはつながりません。


うつ状態のときにはできるだけ休養をとることが必要です。うつ状態には、気分が落ち込む、やる気が出ない、外出できない、罪責感、眠れない(逆に過眠になる場合もあります)、食欲不振などの症状が出て動くことができず、患者さんにとってはとても苦しい時期だということを理解してください。


うつ状態のときには体を動かすことも患者さんにとっては大変つらいことなのです。仕事や家事が思うようにできないことについて理解して、サポートしてください。


躁状態のときの言動などについて責めないで、できるだけそっとしておいてあげてください。


躁状態でやってしまった失敗を一番後悔して苦しんでいるのはうつ状態のときの患者さん本人なのですから。


双極性障害は脳の病気

双極性障害は脳の病気です。糖尿病治療に服薬が欠かせないように、双極性障害の治療のためには服薬の継続がもっとも大切です。忘れずに服薬できるよう、サポートしてあげてください。


「頑張れ」や「いつごろ治るの?」という言葉は、動くこともつらいうつ状態の患者さんを焦らせ、苦しめてしまいます。あたたかく見守ってください。


双極性障害は自殺される方も多い病気で、生きづらさを抱えながら日々を過ごしています。その中で、家族という絆は何よりの支えになります。


患者と家族の考えのギャップを埋める必要性

家族は、躁状態を迷惑と思う一方、うつ状態は軽く考えすぎる傾向があります。一方本人は、うつ状態は強く訴える一方、躁状態を軽く考えるのが普通です。そのため、どうしても家族と本人の間で、意見が食い違いがちです。


そのため、双極性障害の患者さんがいるご家族の中には、話をするたびにけんかになってしまうという家も少なくありません。しかし、このような家庭内のストレスを慢性的に抱えていると、再発をくりかえしやすくなり、これがまた家族のストレスになる、という悪循環に陥ってしまいがちです。


家族と本人の間には、このような考え方のギャップがあるのが当然と思わねばなりません。病気について、腫れ物にさわるようにして話し合わないでいると、いざという時にうまく治療が進みませんが、あらかじめこうした違いを互いに話し合い、考え方に、なぜ、どのような違いがあるか互いに理解しておくことで、こうした悪循環を防ぐことができます。


治療は患者、家族、医師の三者による「共同作業」

再発した時にどんな症状が最初に出てくるのかは、人によってさまざまです。自分の場合は再発のしるしとしてまずどんな変化が現れたか、これまでの躁状態をよく振り返って、家族と話し合っておけば、もし再発のきざしがあった時、早め早めに主治医に相談することができます。


双極性障害の治療は、患者、家族、医師の三者による、病気のコントロールという一つの目標に向かった共同作業なのです。


双極性障害の患者に配慮すべきこと

  • 躁状態の時の言動を責めない

  • 怠け者として扱わない

  • 以下のような言葉は言わない

     ✓「頑張れ」

     ✓「元気を出して」

     ✓「クスリに頼るな」

     ✓「いつになったら治るの?」

  • 愛情を持って接する