
双極性障害の治療とどのように向き合っていくか
双極性障害を克服して、普通の社会生活を送れるかどうかは、躁状態やうつ状態が治ってからどのように「治療」するかにかかっています。
双極性障害は、放置すると躁状態とうつ状態を何度も繰り返してしまうので、これらの病相が治ったからといって、そこで治療をやめてしまうと再発してしまい、これを繰り返すと心身および社会的なダメージが大きくなります。
再発予防の必要性
「病相が出ない=治った=治療終了」ではないのが、双極性障害であり、長期にわたる「再発予防療法」が必要となってきます。つまり、躁状態でもうつ状態でもない、症状がすっかり治まっている期間においても薬を飲み続けるということです。
病相が出ないから治ったと思い込み、クスリを飲むのをやめてしまうと再発をする可能性が高くなります。クスリを飲まず放置をしてしまうと一層状況は悪くなり、本人にとっても周りの家族にとっても辛い状況となります。
継続してクスリを飲み続けることは簡単なことではありませんが、根気よく病相に困ってなくてもクスリを飲み続けることが再発防止に繋がります。
再発を繰り返して、やっと継続的にクスリを飲む決断が出来た頃には、社会生活で大きなハンディキャップを抱えてしまうケースも少なくありません。
早期の治療開始が重要
早い段階で双極性障害の治療を軌道にのせることができれば、1~3カ月に1回、定期的に外来で診察を受けながら、薬をうまく利用して再発をコントロールし続けることが可能にもなります。コントロールが可能になれば、日常生活することも十分に可能になります。そうなれば双極性障害は、人生の中のほんの小さな一部分にすぎなくなります。
個人差はありますが、ひとつの目安としては、うつ病エピソードは4か月~1年、躁病エピソードは2週~数か月続くようなサイクルで、病相は変化していきます。
双極性障害の発覚の時期にもよりますが、寛解に至り、病前水準の社会生活を送ることができるようにあることは少なくありません。
しかしながら、高い再燃/再発率に対し、原則、長期の予防療法が必要であることは間違いありません。薬物療法に加え、心理教育によりアドヒアランスや生活リズムの維持、不調の兆しを自覚してもらうことが重要となります。
双極性Ⅰ型もⅡ型も基本的は治療方法は同じである
双極性Ⅰ型もⅡ型も同様の治療を行います。ただし近年では、軽躁状態がそれほどはっきりしない場合にも双極II型障害という診断がなされている場合もありますので、こうした場合には、治療方針もケースバイケースとなります。
それだけ、双極性障害なのかどうかの判断は難しいものであるとも言えます。