双極性障害の治療とクスリの種類

双極性障害の治療への取り組み

双極性障害は、長期間にわたって躁とうつの症状を繰り返す病気です。また病気を無くそうと必死になって頑張ろうとすると、一層、病気の苦しみが深くなってしまう場合が多々あります。


双極性障害を治療していくには、病気を受け入れて、つきあっていくという気持ちに切り替えていただく方が症状が安定します。双極性障害とは戦うのではなく、つきあっていこうという考え方の方がうまくいくのです。


双極性障害は原因はよくわかっていないのですが、何らかの脳の機能的異常によって気分に波が生じると考えられています。このため、お薬によって気分を安定させることが大切です。


双極性障害は、気分の波が患者さんを苦しめます。このためリスクを冒さず、「低め安定を目指す治療」が目標となっていましたが、近年はお薬の選択肢が広がり、患者さん自身が治療に取り組むことで、「ちょうどいいところで安定を目指す治療」に変わりつつあります。


そしてお薬で気分の波を小さくしていき、「さざ波」と上手く付き合っていくことを目指します。


そのためには、以下のことを理解していく必要があります。


  • 治療は継続的に受けなければならない

  • お薬は焦らずに使っていく必要がある

  • 規則正しい生活をする

  • ストレスとのつきあい方を知る

  • 病状の移り変わりの状態をしっかり掴んでおく

  • 社会生活を少しずつ広げていく

薬物療法

双極性障害には、気分安定薬と呼ばれる薬が有効です。日本で用いられている気分安定薬には、リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンがあります。


その他、日本では双極性障害に対する適応が認められていない薬の中に、海外で双極性障害に対する有効性が確認されている薬がいくつかあります。


気分安定薬であるラモトリギン(日本では難治性のてんかんに対して適応が認められています)、非定型抗精神病薬であるクエチアピン、オランザピン、アリピプラゾールなどです(これらは、日本では統合失調症に対して適応が認められています)。


このうち、最も基本的な薬はリチウムです。リチウムには、躁状態とうつ状態を改善する効果、躁状態・うつ状態を予防する効果、自殺を予防する効果があります。


リチウムなどの気分安定薬に加えて、うつ状態の時には、抗うつ薬が処方される場合もあります。しかし、抗うつ薬の種類によっては、かえって症状が悪くなってしまうこともあるので注意が必要です。


とくに三環系抗うつ薬と呼ばれる古いタイプの抗うつ薬は、躁状態を引き起こすことがあるので、双極性障害の方はできる限り避けたほうがよいでしょう。


よく用いられるクスリの例

【気分安定薬】

気分安定薬は、抗躁効果・抗うつ効果・再発予防効果の3つが期待できるお薬です。


  • リーマス(一般名:炭酸リチウム)

  • デパケン(一般名:バルプロ酸ナトリウム)

  • ラミクタール(一般名:ラモトリギン)

  • テグレトール(一般名:カルバマゼピン)

【抗精神病薬】

抗精神病薬は、抗躁効果や抗うつ効果を認める薬が多く、最近では再発予防効果も報告されています。


  • セロクエル(一般名:クエチアピン)

  • ジプレキサ(一般名:オランザピン)

  • エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)

  • リスパダール(一般名:リスペリドン)

  • ロドピン(一般名:ゾテピン)

【その他のお薬】

  • 甲状腺ホルモン剤(チラージンS)

  • ドパミン受容体作動薬(パーロデル・ビシフロール)

  • 抗うつ剤(リフレックス/レメロン・ジェイゾロフトなど)

双極性障害は継続的な治療が必要

双極性障害という病気は、何らかの脳の機能的異常があることが考えられていますが、残念ながらその本質的な原因がわかっていません。


このため現状では、お薬によって症状を安定させることが大切です。そして物事のとらえ方を整理し、リズムを意識した生活をすることで少しずつ安定していきます。


そのため治療は非常に長くなりがちで、継続的な治療が重要になります。気分の波によって失ってしまうものも少なくなく、非常につらい病気です。


しかしながらそのエネルギーが良い方向に向かうこともあり、うまく症状をコントロールしながら前向きに生きてる方もたくさんいます。


双極性障害は継続的な治療が必要で、お薬による治療は非常に重要です。ぜひ専門家に相談して、継続的に治療を続けてください。


双極性障害Ⅰ型で入院したことがある方は、クリニックではなく病院(精神科)での治療が望ましいです。双極性障害Ⅱ型では、メンタルクリニックで継続的な治療が可能です。


また双極性障害は、診断がなかなかつきにくい病気でもあります。気になる症状がある方は、ぜひ主治医に伝えてください。