うつ病とカウンセリング

カウンセリングの定義

カウンセリングとは「専門家による心理的な援助」を指します。日本では、カウンセリングと心理療法は、ほぼ同じ意味として用いられています。カウンセリングの定義は様々ですが、それらの共通要素としては、次のように考えられます。


  • 心理学的な専門的援助である。

  • 会話を通じて、カウンセラーがクライアント(カウンセリングでは患者のことをクライアントと呼ぶ)の何らかの問題を解決するために様々な援助行動を行う

  • カウンセラーの援助により、クライアントが自己理解を深め「よい」意志決定がが出来るようにすること

  • クライアントが遭遇する困難を克服して、その人なりの特徴を活かした成長と遂げられるようにすること。

  • 社会のなかでその人なりに最高に機能できる「自発的で独立した人」として人生を歩めるようになること

上記が主なカウンセリングの定義となります。


カウンセリングが必要なケース

医療機関においては、治療上「カウンセリングが必要である」と主治医が判断した場合に、臨床心理士などのカウンセラーにカウンセリングがオーダーされます。「カウンセリングが適用」と判断される場合は、次のような場合です。 


1:患者の状態が、考えて話せる状態である場合

カウンセリングは、カウンセラーとの対話により成り立ちますので、対話自体が難しい場合、患者にとって著しく負担が大きい場合には、休養が優先され、カウンセリングの適用とはなりません。


また、「うつ病の場合深く考えさせることは禁忌」という考え方がありますが、うつ病で通院しているからといって、四六時中、物事を深く考えてはいけないということではありません。


ご本人がどの程度問題を掘り下げて考えていくかは、カウンセラーが主治医と相談しながら患者の状態を客観的な評価(アセスメント)しながら進めていきます。また、休職者のカウンセリングの場合、これまでの生き方、働き方を振り返る中で、その修正を余儀なくされることが生じますので、「深く考える」プロセスが必然となります。


2:病気に至った経緯、背景に心理、社会的問題が存在している場合

うつに至った経緯、背景を聞いていく中で、患者の性格や物事の考え方、行動パターンなどが影響していることはよくあることです。そのような場合には、薬物療法と休養だけでは、休養中の症状の改善は見込めたとしても、職場復帰した場合にはまた同じことが起きてしまい、症状が悪化すること可能性は高いです。


その場合、単純に症状を改善させることに留まらず、クライアントの「性格や物事の考え方」などを見直し修正していくことが重要になります。またクライアントが身を投じる環境に対して、必要な環境調整への働きかけをしていくことも回復、職場復帰には必要なプロセスとなります。


3:経済的に可能な場合

医師以外によるカウンセリングは、通常保険が効きませんので、相談機関によりますが、1回(50~60分)当たり10,000円前後かかります。また、カウンセリングとは1回限りということではなく、継続する必要があるため、経済的な負担が大きくなるので、患者の経済的状況もカウンセリングを適用する際には考慮に入ります。


<追伸>

2016年4月から研修を受けた看護師が医師の指導のもとに認知行動療法を保険診療で行えるようになりました。ただ現状では行っている医療機関は限られています。認知行動療法を受けたい場合は、主治医や地域の精神保健福祉センターなどの相談窓口などに相談し、医療機関を紹介してもらうようにしてください。


4:カウンセリングへの動機付けがある場合

まずカウンセリングでは、クライアントはカウンセラーに自分の気持ちや状況を話し、カウンセラーはそれを汲み取り理解しようとして耳を傾けます。


その過程の中で、クライアント自身が「わかってもらえた」「すっきりした」という感覚を感じられることがカウンセリングでは必須条件となります。


「誰かにわかってもらえた」「自分が抱えていたことを話せてすっきりした」という事実に加え、自分のカウンセラーとの信頼関係が構築できたと認識できることで、初めて、クライアントは今自分が直面している問題に取り組もうと初めて思うことができます。


さらには、カウンセラーと話すことによって、自分を客観視できるようになると、自分の抱えていた気持ちや病気に陥った自分自身の思考や行動パターンや環境要因などに気が付くことができます。


自分自身の思考や行動パターンや環境要因などにクライアント自身が気が付くことができることによって、「これまでの思考や行動パターンを変えていこうという意識」を持てるようになるため、その結果、カウンセラーからのアドバイスや介入が有効となります。


最終的には、今回の体験をどのようにとらえ、今後自分がどう動いていったらよいのか、どう生きていったらよいのか、ストレスにどのように対処していったらよいのか、自分をどうセルフマネジメントしてばよいのかということを考え、整理整頓して習得していきます。


このようなプロセスをカウンセラーとともに歩むことは、症状の改善だけでなく、クライアントがよりよく生きていくことに寄与するものであると考えられています。


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5:カウンセリングの効果

カウンセリングの効果は、数々の実証研究でも確認されています。たとえば、うつに関しては、いくつかの異なる技法のカウンセリングの効果が示されていますが、とくに認知行動療法については、症状の改善に寄与し、再発の予防にも寄与するという明確な効果が示されています。


カウンセリングに効果があることは確かなようですが、カウンセリングが効果を生むためには、クライアントの動機付けやカウンセラーがどのようにクライアントと関わるか、クライアントとカウンセラーの関係の質、用いる技法など様々な要因が関係していると言えます。