新型うつ病とは

「新型(現代型)うつ病」とは、なくマスコミが生み出した用語である

日本うつ病学会のガイドラインによると、「新型(現代型)うつ病」は「若年者の軽症抑うつ状態」の一部を切り取ったものです。そして「新型(現代型)うつ病」とはマスコミ用語であり、精神医学的に正式な病名ではありません。したがって、医学的に明確な定義があるわけではないのですが、以下のような特徴があると言われています。


新型(現代型)うつ病の特徴

不眠に悩む、職場や学校で激しく落ち込むといった「うつ」の症状を示す一方で、自分を責めるのではなく上司のせいにする、休職中にもかかわらず、自分の気の進むことなら外出も出来る・・・といった状態が見受けられます。


したがって、あえて定義をするならば、職場への不適応に基づく適応障害の一型(抑うつ気分を伴うもの)というのが正式な診断名です。


職場や学校ではうつになるが自宅では元気という症状の状況依存性、うつに陥った責任を自分よりも周囲の人間関係に帰するという他責任、休職を深刻に捉えていないという病者意識の希薄性を示す若年者の軽症抑うつ状態と言ったところでしょう。

その原因としては・・・


①上司や同僚の対応や過大な仕事量など職場側の問題

②本人の適応能力

③職場と本人との相性


が、考えられます。


適応障害の抑うつでも壮年期では自責に傾く症例が少なくありませんが、若年期で他責的になる場合がいわゆる「現代型(新型)うつ病」といえます。とはいえ、その背景には仕事上での思わぬ挫折に加え、会社からの見捨てられ感も拭われないことが多いです。


この新しいうつ症状は他責的で過眠や過食が特徴としてみられます。そのうえ会社や学校にいる間は憂うつで物事が手につかないが、家に帰れば好きな趣味に熱中できる…といった具合に、自分に好ましい状況下では抑うつ感が消失して行動的になる。


これは「うつ病の種類と特徴」で説明した「非定型うつ」にも似ている部分もあります。時には行動的になりすぎて軽い躁うつ病と診断されるほどでもあります。


新型(現代型)うつ病の「拒絶過敏性」

そして何よりも困ったことに、新型うつ病にかかった人は、他人の言動に傷つきやすくなります。例えば、自分の作った企画書に上司が少し注文をつけただけで、全人格を否定されたかのように感じて会社を休む。同僚から口紅がいつもより赤いと言われただけで、みだらな女というらく印を押されたかのように思いこみ、その人とは口を利かなくなってしまったりするなどの拒絶反応が出ます。


こうした状態を「拒絶過敏性」と呼びます。新型うつ病では、これが原因して社会機能が低下し、下り坂の人生を歩むことになってしまう人が少なくありません。


不安、焦燥感、孤独感が先に立ち、そのやるせない気持ちを紛らわせるためにリストカットなどの自傷行為、買い物やギャンブル、性への依存にも陥りやすくなります。


新型(現代型)うつ病は育ってきた環境も関係する?

現代人がかかるうつ病では、約半数の人に何らかの不安障害が前ぶれ的に出現すると考えられています。とりわけ小児期、思春期、青年期では、親から離れることに対する強い恐怖感が引き起こす分離不安障害、手洗いがやめられないなどの強迫性障害、過剰不安障害、対人恐怖、パニック障害などが隠れていることが多いです。


今の日本では親子関係が疎薄になっている家庭が少なくありません。合わせて考えるに、十分に可愛がられて育ったという感覚を持たないこと、両親との早期離別や虐待なども、新型うつ病発症の土壌の一つになっているのではないかと言われています。


人は脳が9割方発達する3歳までは「可愛い」「いい子」といわれ続け、スキンシップを受けて育てられないと、円満な人格が形成されません。共働き家庭の事情も理解できますが、保育所が増加している日本では、この時期の乳児とのコミュニケーションの取り方、育児のありようを十分に考慮していくことが必要であります。


新型(現代型)うつ病の治療法は?

新型うつ病の治療は大変難しいと言われています。病院で行われる薬物療法は、ほとんどが目先の症状を緩和するだけの対症療法であるため。最新の新世代抗うつ剤(SSRl)も、効かない場合もあるようです。


それよりも大切なのは、生活療法であると言われています。まずは日内リズムの調整。家族と同じ時間に寝食を共にするのが大原則であり重要であります。


うつ病患者は憂い、悩みといった考えが常に空転し、心が過重労働となって心身のバランスが崩れているので、集中して汗をかくほどの運動を連日することが薬と同等以上の効果があるとも言われています。


まとめ

新型うつ病患者の大半は、誰も自分のことを理解していないと嘆く傾向が見受けられます。そのため周囲にいる人は、患者は気まぐれに見えても病気であることをまず認識し、理解して接することが大切です。


さらに励ましの言葉も、状況によっては非常に有効になるでしょう。ただし、言葉に対して過敏であるから、本人を傷つけるような言葉は一切避け、やさしく接することが必要です。いずれにせよ最終的には人格の成熟を促すための、息の長い治療が必要となることだけははっきり言えます。