復職におけるうつ病の再発について

うつ病の再発率は高い

<うつ病を再発して休暇を再取得した大企業の社員の現状>

(厚生労働省研究班の調査結果)

  • 復職後1年以内に再発した人の休暇再取得割合は28.3%

  • 復職後2年以内に再発した人の休暇再取得割合は37.7%

  • 復職後5年以内に再発した人の休暇再取得割合は47.1%

5年以内で見た場合、うつ病復職者の約半数近くの人が再発してしまいダウンしていることがわかります。このことから、「うつ病は繰り返す」と言われるのがうなずける実態であり、「うつ病の再発率は非常に高い」ということ事がうかがえます。


ただ、この数字を悲観的に捉えるかそうでないかでは大きく違いが出てきます。半数以上の人は、5年以上の完全復帰しているとも言えるからです。自分が「5年以上の組」に入ればいいのです。そのことだけを考えるようにしましょう。悪い方を見ていたらキリがありません。


それでは、そもそもなぜ再発者が出てしまうのかを考えてみましょう。


なぜ復職後に再発をしてしまうのか

うつ病になる人には2種類のタイプに分類できます。


  • 「働きすぎ」タイプ

  • 「ストレスを感じやすい考え方を持つ」タイプ

これをスポーツで例えるならば、前者の「働きすぎ」タイプは、カラダに負担の掛からないスマートな身のこなしながら、その分カラダを酷使したり、思わぬトラブルでケガをしたというパターン。


そして後者の「ストレスを感じやすい考え方を持つ」タイプは、もともと負荷のかかる危険なフォームでプレーをし続けた結果、ケガをしてしまったパターン・・・に相当するのではないでしょうか。


このパターンの違いで、復帰までの道のりは大きく変わってきます。


前者の「働きすぎ」タイプの場合は、ケガが癒えリハビリをすることで以前と同様に動けるようになれば、即復帰の道が開けるでしょう。


しかし、問題は後者である「ストレスを感じやすい考え方を持つ」タイプ。例えケガが癒えたとしても、そもそも負荷の掛かるフォームでプレーをしていたので、今までと同じようにプレーを再開してしまえば、同じ故障をくり返すのは目に見えている話であり、今後ケガをしないためには、フォームとプレーの改善をする工程が必要になります。その分、前者よりも復帰まで時間が掛かるのは言うまでもありません。


ここでいう「フォーム」に相当するのが「認知」と呼ばれる考え方・生き方の「クセ」に当たります。


「働きすぎ」タイプは基本的に認知の面では問題が無いことが多いです。ですから、しっかりとした休養を取り、気力と体力が充分に備われば、今後は自分を「酷使」しない限りさほどの心配はないでしょう。よって、うつ病と完全にさようなら出来る可能性は極めて高いものとなります。


しかし、「ストレスを感じやすい考え方を持つ」タイプは、根本的にこの「クセ」を直さない限り、うつ病を繰り返してしまう危険性が極めて高いのです。「ストレスを感じやすい考え方を持つ」タイプの心に負担をかける「認知」の代表的なものは・・・


  • 完璧主義

  • 「どうせ自分なんか・・・」という過小評価

  • 「いつか嫌われるのでは・・・」という変な思い込み

などが挙げられます。


このような認知における「悪いクセ」を直さない限りは、常に周囲の評価を気にするあまりに再び無理をして、結果再発を招いてしまう・・・という状況に陥るのです。「悪いクセ」を直さない限りは何度もくり返すことでしょう。


復職後、うつ病を再発させる「焦りと甘さ」

認知は「癖」なので、改善には時間がかかることは間違いありません。


心の負担が少ないところで、より良い考え方を意識しながら行動する。

意識せず自然に出来るようになれば、少しだけ負担を増やして再度意識して実践する

慣れたらさらに少し負担を増やして実践してみる


このようなプロセスを何度も重ねて行い改善しなければなりません。これは認知のクセを直すためには必須のステップです。


しかし、ここで本人(「ストレスを感じやすい考え方を持つ」タイプ)にまず「焦り」が出てしまう場合が多いのです。うつ病になる方の多くは真面目が故に、仕事を休んで迷惑をかけた分、はやく元気になって恩返ししなければという「焦り」が出てしまうのです。「早く、早く・・・」という意識がフル回転してしまう状態です。


だから負担の少ない仕事でより良い認知に慣れると、「もう大丈夫」という「甘い錯覚」を起こし、急に休職前の仕事に完全復帰しようとしてしまう傾向が強く、以前のようなパワーで働けると勘違いをしてしまうのです。


でもこれは実際には、2軍で新フォームを数イニング試しただけで、1軍でバリバリやれると勘違いしてしまうのと同じことなんです。この考えの「甘さ」は非常に危険であることは間違いありません。


思うように仕事をこなせず自信を失うか、仕事をこなそうとかつての認知に戻るか・・・どちらにしろ、間違いなく心はストレスを溜め込んでしまいます。


復職の歩みは想定以上にゆるやかであれ

しっかりと休養を取り認知の「悪いクセ」を直した状態で、いよいよリハビリ勤務を開始した場合にも、落とし穴があるので気を付けなければなりません。


もちろん会社側にも色々と事情があり「この仕事をなんとかしなくては・・・」という「焦り」はあることでしょう。何故なら休職者の仕事を周りの社員達で負担し補っているからです。


正直、周りに負荷がかかってることは間違いありません。周りには「早く○○さんが復帰してくれたら・・・」という焦りもあるでしょうし、言動の端々にその人たちのストレスも出やすくなるかもしれません。


そこにリハビリ勤務で問題なく仕事をする復職者の姿を見れば、どうしても周りの人たちの判断が甘くなり、復帰した人間との面談が疎かになったり、仕事量を急速に戻してしまったりという事態が起きやすくなります。


この事態が非常に危険なことであり、せっかくリハビリを重ねて回復の兆しが見え始めたところで、これをやってしまうと、本人が「また潰れてしまう・・・」というケースが多々あるのです。この事態が一番怖いことなのです。


復職者も会社側も、悪気がないことはもちろんです。双方とも復職が上手くいくことを望んでいるのも本音でしょう。ただし「認知のクセを直す。変化させる」ことは想像以上に遅いことを本人も周囲も知らないため、完全復帰への見通しが楽観的になってしまい、再発を起こしてしまうのです。


復職と認知の変化

認知の変化は「365歩のマーチ」のごとく、「3歩進んで2歩下がる」ようなものです。職場はこのことを念頭に年単位での緩やかな復帰計画を立て、完全復帰後も定期的にカウンセリングを受けさせるなど細やかなアフターケアを行なうことが、うつ病の再発防止にとって必須策と言えます。


今一度、どのような体制をとっているのかを見直して、うつ病から復職者が再発しないプランを念入りに考える必要があります。本人自身は「焦らず・甘く見ず」、確実に認知のクセを直して徐々に緩やかにステップアップすることに注力することが、絶対的に必要です。